営業をしている方であれば、誰もが一度は、「どうしたらもっと売れるんだろう。。」と考えたことがあると思います。
売ることは営業の最大の仕事であり、売れない時期が続くと精神的にも体力的にも辛くなってくることありますよね。
私もこれまでずっと営業をしているので、幾度となく悩んできました。
営業に関するビジネス書を何十冊と読み、たくさんのテクニックを実践してきましたが、
そんな中、私が出会って実際に商談率、契約率がアップしたPSSスキルについてご紹介します!
私自身法人営業なので、特にこのPSSスキルが重要になりますが、
お客様と対話をする機会がある営業パーソンの方であれば、PSSスキルは営業スキルの本質です。
- 個人営業or法人営業
- 有形商材or無形商材
- プッシュ型営業orプル型営業
いずれの組み合わせでもご活用いただける営業の本質的スキルなので、ぜひ最後までご覧ください。
難しいですが、身につけたら確実に面談の質が向上するのでぜひ実践してくみてください!
PSSとは
PSSとは”Professional Selling Skill”の略で、お客様との面談において最大の効果を発揮する本質的な面談スキルを指します。
様々な営業研修を実践されている富士ゼロックスやパーソルでも採用されているプログラムであり、あのキーエンスでも全社員が学ぶとされている本質的な営業スキルです。
なぜPSSが必要
市場は絶えず変化し続けます。それに伴いお客様のニーズも変わり続けていきます。
同じ売り方を続けているだけでは、数ヶ月前にはうまくいったけど、なぜか今は上手くいかないということも多々あります。
そのため、お客様がすでに持っている”顕在化されているニーズ”ではなく、”潜在的なニーズ”を探ることが重要になってくるのです。その潜在的なニーズまでとらえた上で提案を行うことが、営業の価値が発揮される活動となります。
そんなこと言うと、
結局いつも同じものを売るんだから、自分の商品ではそんなことまでしなくても良いよ
と考える人もいるかも知れませんが、それでは競合がいる案件で勝てなくなります。
はたまた、お客様の言うがままに御用聞きの営業をしていては、社内外の他の営業に勝つことも難しくなります。
キーエンスが「顧客の欲しいというモノは創らない」と掲げている所以はこの潜在的な課題の解決に力を入れているからです。
PSSの具体例
ここで一つ、PSSが発揮される具体例を簡単にご紹介します。
あなたは寝具メーカーの営業パーソンだとしましょう。
そこにお客様がやってきました。
マットレスが欲しいんですけど何がいいですか?
もちろんこのまますぐにマットレスのご紹介をしても悪くないのですが、ここでPSSスキルを発揮します。
マットレスですね。何か今のマットレスにお悩みですか?
このように少しお客様がマットレスを探している背景に迫ってみます。すると、
実は寝つきが悪くて、不眠に悩まされているんです。
つまりお客様は”マットレスが買いたい”のではなくて、”寝つきを良くして不眠症を解消したい”というのが本質的なニーズであることがわかりました。
これが顕在的なニーズではなく、潜在的ニーズを探るということです。
お客様の潜在的なニーズがわかれば、営業として提案できる選択肢も広がります。
今回であれば以下のような選択肢が挙げられると思います。
- お客様の言う通りにまずは”マットレス”を紹介する
- 寝つきの悪い要因は枕の高さも関係があると考え”枕”を紹介する
- 体温など室内環境も寝つきに大きな影響があるため”布団”を紹介する など
これらはどんどんとお客様のニーズを深掘りしながら何を提案するか決めていけば良いと思います。
以上がPSSスキルが発揮された事例ですが、こんな話をするともしかしたら
そんな面倒なことをしなくてもお客様が言う通りのものを提案したらいいじゃん!
マットレスが一番単価高そうだし!
と思う方もいるかも知れません。
恐らくですが、そのまま提案しても買ってくれるお客様は一定数いるかと思います。
ただこれをするかしないかで総合的な営業成果では大きな差が現れてくるかと思います。
このPSSスキルを使わずにマットレスを紹介してしまうと
こちらのマットレスは人気の商品でおすすめですよ!
へぇー、良さそうですね。検討してみます。
〜帰り道〜
マットレス、思ってたよりも高いかも
そもそも本当にマットレスを買えば寝つき良くなるのかな
やっぱり他の案ももう少し考えてみようかな
お客様の本質的な願いは”寝つきを良くすること”です。
そのため他の解決策を提案しないまま蓋をしてしまっては、結局お客様の中で疑問が生じてしまいます。
お客様は自分の寝つきを良くするという課題解決よりも価格や他の選択肢に思考が移ってしまい、提案されたマットレス自体に関心が薄くなってしまっているため、このまま売れずに終了してしまいます。
お客様が良いリアクションをしてくれて、先輩や上司にも「これは売れます」と宣言したにも関わらず、後からお客様に連絡してみたら、「今回は見送ります」と言ったような経験はないでしょうか?
上司や先輩になぜ売れなかったのかを聞かれても自分自身も理由がわからず、運が悪かったと言う他責思考な判断では次への改善に繋げることができません。
もちろん様々な要因があるので一概には言えないですが、大きな要因の一つとして「お客様の潜在的な課題を把握できず、お客様が課題解決につながらないと判断された」というものがあるかと思います。
もし仮に、お客様の「マットレスが欲しい」という要望を深掘りして、「寝つきを改善したい」という潜在的なニーズが把握できていたら、主導権はあなたが握っている状態になります。
主導権を握れば、寝具のプロであるあなたは、ありとあらゆる提案が出せると思います。
その結果お客様が、それなら枕が良さそうとなれば、コンサルタントのように提案してくれるあなたの価値はもちろんのこと、自分の課題を解決できる価値を存分に感じてくれるため、迷うことなく契約につながっていくのです。
これが顧客目線、顧客ファーストと呼ばれPSSをする最大の理由であり、営業に求められる価値の一つです。
PSSの具体的な使い方
PSSは4つのスキルを段階的に使います。
- オープニング
- プロービング
- サポーティング
- クロージング
どれか一つではなく、全てを網羅的に使うことが重要なので、それぞれ詳しくご説明します!
オープニング
まずは「オープニング」です。
オープニングで最も重要なことは「相手と商談目的に対する合意をとる」ことです。
オープニングはPSSを始める上での基本であり、クロージングにもつながっていきます。
まずはこの2つの合意を得ることからぜひ意識してみてください。
- 面談の目的・内容について合意を得る
- 面談後にお客様にして欲しいアクションについて合意を得る
これらの合意をとる理由は、お互いに時間をとっている目的について視線を合わせ、お客様にも能動的に面談に参加してもらうためです。
具体的には以下のような始め方をします。
今日の面談ですが、先日ご要望いただいた●●についてまずはご紹介させていただき、さらに▲▲様の課題を伺いながら、■■などについてもお話しさせていただきたいのですが、よろしいですか?
その上で、今日のご提案が良いと思っていただけたら、
- ご契約を前向きにご検討いただきたい
- 導入に向けた進め方をご相談させていただきたい
- 他部署の関係者や上長にも同席いただいてご紹介させていただきたい
と考えております。
これをするかしないかで、お客様の対応は変わります。
皆さんの提案を聞いた後に情報収集と捉えて「検討してみます」とただその場やり過ごせば良いのか、
または提案を聞いた後に何か自分もアクションをしないといけないのかが変わってきます。
それによって面談に対する取り組み方も変わってくるでしょう。
この特徴はオンライン面談が主流になったことでお客様の温度感がコントロールできず、より重要なスキルとなっています。
プロービング
次に「プロービング」です。
プロービングの目的は「お客様のニーズの裏にあるニーズを探り、お客様の潜在的な課題を見つける」ことです。
そのためプロービングはPSSの中で最も重要なスキルだと言えます。
まずはこの2つを意識してみましょう
- お客様が言葉にしたニーズの裏のニーズは何か
- ニーズの裏のニーズに至った背景・理由は何か
上記の潜在的なニーズを捉えることで、お客様が本当は何をしたいのかを明確にし、自分自身がどのような提案をすべきか方向性を定めることができるので結果的には提案の品質向上につながります。
今▲▲様が仰った●●という課題
- もう少し具体的にお伺いしてもよろしいですか?
- そう思われた理由はどんなところでしょうか?
面談において非常に重要なプロービングですが、あまりに当たり前のことを何度も深掘りすぎると、話の通じない営業パーソンとしてお客様の心が閉じてしまいます。
そのため、質問が多くなってきたら、
- 当たり前のことを聞くようで恐縮ですが〜
- お答えできる範囲で構わないのですが〜
など、枕詞をつけて質問をするとお客様が回答に対する心理的負荷を少し減らせるかと思います。
プロービングを実践してしっかりと次のサポーティングに繋げていきましょう。
サポーティング
3つ目に「サポーティング」です。
サポーティングの目的は「お客様に与えられるベネフィットを伝えて、お客様の懸念を払拭する」ことです。
私はPSSスキルの中でサポーティングが最も難しいと感じています。
サポーティングで意識すべきことは以下の2つです。
- お客様の課題に対してどんな解決ができるかお客様のベネフィットを意識して伝える
- お客様の状況や立場によってサポーティングの内容は変わる
少し詳しく紹介します。
まず「ベネフィットを意識して伝える」ことについて、
単純にお客様の課題に対して、
睡眠の質を改善したいんですけど
このマットレスを使えば良質な睡眠が手に入りますよ!
と伝えても、お客様には「なぜそのマットレスが自分の良質な睡眠につながるのか」が伝わらず、適切なサポーティングとは言えません。
適切なサポーティングとはお客様がその提案を納得するだけのベネフィットを感じてもらう必要があります。以下がより良いサポーティングの一例です。
今使っているマットレスが柔らかすぎるのかもしれません。こちらのマットレスは少し硬めに作られており、身体が沈みすぎないので▲▲様に合っていて良質な睡眠につながると思いますよ!
”メリット”と同時に”デメリット”も敢えてお伝えすると、提案内容により信頼度が増すとされています。「両面性の提示」と呼ばれているのでぜひ一緒に覚えておいてください!
なおデメリットをお伝えする場合は、
デメリット→メリットの順番でお伝えしましょう
- デメリット→メリット:少し価格は高いですが、良質な素材を使っていて長く使えます
- メリット→デメリット:良質な素材を使っていて長く使えますが、少し価格は高いです
時と場合にもよりますが、どちらがよりポジティブに聞こえるかぜひ考えてみてください!
また「お客様の状況や立場によってサポーティングの内容は変わる」という点ですが、
お客様の課題に対してFAQのようにいつも同じ回答をしていては危険です。
マットレスが硬いとなぜ良いんですか?
と聞いてくるお客様がいた場合、全員が全員同じ思考や状況で質問をしている訳ではありません。
例えばこの質問の裏側には、
- マットレスが硬いと良いって初めて聞いたけどなんでだろう(興味)
- マットレスが硬い方が良いはずなんてない(疑念)
- マットレスが硬い方が良いと知っているがなんで良いんだっけ?(確認)
お客様の質問に対しても、質問の意図を確認するためのプロービングが重要であり、その意図によって、データを用いて数値で説明するのか、他の方の事例を用いて説明するのか、ただ口頭で説明するのか変わってきます。
適切なサポーティングの積み重ねがお客様の信頼を勝ち取ります。
お客様が質問をしてきたときは、興味を持ち始めている時なので「来た!」と思ったら慎重にサポーティングを実施して行きましょう!
ちなみにプロービングとサポーティングは何度も行ったり来たり繰り返すことが重要です。
クロージング
最後に「クロージング」です。
クロージングの目的は「お客様に判断を促し、次のアクションを明確にする」ことです。
最後の詰めなのでぜひ気を抜かずにいきましょう!
クロージングでやるべきことは以下の2つです。
- 提案によってお客様が得られるベネフィットを再度整理する
- オープニングで同意を得たアクションを実施してもらえるか確認する
クロージングはこれまでのオープニング、プロービング、サポーティングがしっかりできていればそれほど難しいことはありません。
まずはお客様が得られるベネフィットを以下のように整理してあげましょう。
こちらの商品であれば
- ▲▲様の身体に合っているマットレスなので良質な睡眠につながり
- 納品も●日以内に可能なのですぐにお使いいただくことできて
- 価格も■■円なのでご予算以内に収まっています
その上でオープニングで同意を得たアクションを実行してくれるか確認をします。
今日のご提案聞いていただいて、
- ご契約を前向きにご検討いただけますか?
- 導入に向けた進め方をご相談させていただけますか?
- 他部署の関係者や上長にも同席いただいてご紹介させていただけますか?
プロービングやオープニングを一通り実施したけど、まだクロージングするほどお客様が興味を持ってくれているかわからない場合などは「テストクロージング」もおすすめです。
ご興味あれば、
- 見積もりお出ししてみますか?
- お試しで使ってみますか? など
お客様の検討負荷にならない程度で、しかし前向きに検討してくれているのかを確認できるようなアクションを用意しておくと良いと思います。
クロージングで必ずしもお客様から良い回答が得られる訳ではありません。
しかししっかりとクロージングをすることで、本格的に検討をしていて今追いかけるべきお客様かそうでないかを判断することができます。
営業は限られた時間の中で、どれだけ効率的に営業活動を行えるかが勝負です。
お客様が営業や商品を選ぶように、営業もお客様の優先順位をつけることは案件管理において非常に重要です。
(決して優先順位の低いお客様を大事にしなくて良い訳ではありません)
クロージングで次のアクションを明確にし、お客様に判断を委ねるのではなく、能動的な案件コントロールをして行きましょう!
提案できる商品が一つしかないんですけど!?
先ほどの事例では寝具メーカーの営業パーソンを例にあげました。
そのためお客様のニーズを深掘れば深掘るほど提案の幅は広がっていきます。
しかし中にはこんな方もいるのではないでしょうか。
うちは商材が一つだから他の商品を提案するなんてできないんですけど!?
そんな時でも同じようにPSSスキルは重要です。
なぜならお客様の潜在的なニーズ・課題にマッチした状態であなたの商品を提案できるからです。
例えば、あなたがマットレスのみを専門に取り扱っている営業パーソンだとしましょう。
睡眠の質を向上させたいお客様には広い意味で様々な解決策があります。
- 良い香りを焚きながらリラックスして寝るための”アロマ”
- 寝室の室温を快適に保つための”エアコン”
- 外の光が完全に遮断して眠りを妨げないための”カーテン”
PSSによってお客様のニーズの裏のニーズである「睡眠の質を改善したい」という希望を捉え、他に検討している選択肢をヒアリングできたとしたら、
あなたが提案するマットレスにはできて、他の解決策では提案できないお客様のベネフィットを訴求することができます。
結果的にはお客様が納得して
マットレスを買わないと今の課題は解決できそうにないなあ
と思っていただけたら、あなたのPSSスキルは格段に進化していることでしょう。
しかし中には提案できる商材では課題を解決できないこともあると思います。その時は商品を売るべきお客様ではないという判断になります。
お客様が欲しいと言っているのにそんなの酷いと言う意見もあるかと思いますが、逆に言えばお客様の本当に解決したい課題も解決できない商品を売りつける方がよっぽどお客様の不利益になると思います。
それによってお客様は損をする、もしくは営業パーソンがクレームを受ける。そのようなことにならないようWin-Winな関係を目指して行きましょう。
まとめ
買うか買わないか、買うとしても何を買うべきか迷われているお客様に自分ができるベストな提案をすることが優秀な営業パーソンだと考えます。
PSSを身につけることで、お客様がなぜ自分の商品を買ってくれるのか、買う見込みがないのかを判断できるようになり、常に効率的にかつ再現性を持ったパフォーマンスを発揮できるようになります。
非常に難しい営業スキルではありますが、みなさんもPSSを実践してみてぜひトップセールスを目指してみてください!
営業成績が上がり、もっともっと営業でキャリアを築いて行きたい方には、実際に営業でキャリアを構築して年収が1.5倍になった私がおすすめする転職サイトも紹介していますのでぜひこちらもあわせて読んでみてくださいませ!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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